チュートリアル

LINE公式アカウントのAIチャットボット導入ガイド|計画から運用まで

事業者向けの導入ガイド。LINEのAIチャットボットでできること・できないこと、自動化すべき質問、AIに回答を書かせるか選ばせるか、有人対応への切り替え、多言語対応、費用、テストと公開までを解説します。

LineBot.pro Team· 更新 13 分で読めます
LINE公式アカウントのAIチャットボット導入ガイド|計画から運用まで

#LINEのAIチャットボットにできること・できないこと

LINE公式アカウントのAIチャットボットは、お客様からの1対1のトークに昼夜を問わず自動で返信する仕組みです。メッセージの内容から用件を判別し、数秒で適切な返信を送ります。良いボットは営業時間・料金・場所・予約方法といった繰り返しの質問を引き受け、それ以外は担当者に任せます。計画で決めるべきことは4つです。どの質問を自動化するか、AIに回答を書かせるのか承認済みの回答から選ばせるのか、どのタイミングで有人対応に切り替えるか、公開前にどうテストするか。本記事は事業者・店舗責任者向けの解説です。開発者の方はLINEチャットボットの作り方(開発チュートリアル)からお読みください。

#ツール選びより先に、トーク履歴を見る

ツールを比較する前に、お客様から実際に届いているメッセージを確認しましょう。

  1. LINE Official Account Managerで直近1か月のチャットを振り返ります。
  2. 会話を用件ごとに分類します(営業時間、料金、場所、予約、在庫、注文トラブル、クレーム、その他)。
  3. 毎回同じ答えで済む用件と、担当者が調べたり判断したりする必要がある用件に印を付けます。

答えが決まっている用件がチャットボットの担当です。それが問い合わせの大半なら、効果はすぐに出ます。個別の見積もりや特定の注文に関する相談が中心なら、小さく始めましょう。答えが決まっている用件だけを自動化し、残りは人が対応します。

#得意なこと、任せてはいけないこと

得意: よくある質問への即答、リンクやカード(メニュー、料金表、予約ページ、地図)の送信、夜間・休日の対応、多言語での返信。

不得意: クレーム対応、交渉、ボットから見えない情報が必要な質問(個別の注文、明日の空き枠)、間違えると損失が大きい内容。ボットが人間のふりをしてはいけません。お客様がいつでも担当者に連絡できる導線が必要です。

#LINEチャットボットの3つのタイプ

一番大事なのはベンダー選びではなく、「お客様が受け取る回答を誰が書くのか」です。

キーワード応答承認済みの回答をAIが選ぶAIが回答を書く
仕組みメッセージ内のキーワードで決まった返信を送るAIが用件を判別し、用意した返信から1つを選ぶ。該当がなければ返信しない言語モデルが毎回新しい返信を作る(自社資料を根拠にするのが前提)
言い回しの違い登録したキーワードのみ理解できる理解できる
誤った料金や約束を伝える可能性なしなし(承認した内容しか送られない)あり(資料の読み違いや情報の補完)
準備少ない少ない〜中程度中〜多い(資料、ルール、監視)
運用コストLINEのプラン料金以外なし判定したメッセージごとに少額のAI費用メッセージごとのAI費用(一般に高め)
向いているケース決まった質問が数個多くの中小事業者(FAQ、料金、リンク)商品数が多く質問が多様で、回答を確認する担当者がいる場合

#選び方の目安

  • 答えが決まっている質問が10個以下 → キーワード応答で十分です。
  • 同じ質問がさまざまな言い回し・複数の言語で届く → 承認済みの回答からAIが選ぶ仕組みを加えます。
  • 質問が多様で回答を用意しきれない → AIに回答を書かせます。ただし自社資料だけを根拠にし、厳格なルールを設け、実際の会話を定期的に確認することが条件です。
  • 支払い、予約、返金、医療・法律に関わる質問 → AIに即興で答えさせず、リンク付きの定型回答か担当者で対応します。

多くの中小事業者にとっては「キーワード+選ぶだけのAI」が最もバランスの良い選択です。お客様はすぐに回答を受け取れ、承認していない内容が届くことはありません。

LINE自身の機能も同じ考え方です。LINE Official Account Managerにはキーワードによる応答メッセージが標準で備わっています。さらに日本では、届いたチャットの内容をAIが判別し、登録したQ&Aから回答する「AIチャットボット(β)」が提供されています。実際のお客様対応で稼働させるには、有料の「チャットProオプション」(月額3,000円・税別)が必要です(LINEヤフー for Businessの記事、2026年10月時点)。

#チャットボットを構成する要素

どのツールを使っても、LINEチャットボットの構成要素は共通です。

  1. Messaging APIを有効にしたLINE公式アカウント。 ボットはLINE Developersコンソールで設定したWebhook URLでメッセージを受け取ります。アカウントがまだない場合はLINE公式アカウントの作り方から始めてください。
  2. 用件(インテント)。 お客様が尋ねる5〜10個のテーマと、対応するすべての言語で実際に使われる言葉。
  3. 回答ライブラリ。 用件ごとに承認済みの返信を1つ。短いテキスト、または画像・数行のテキスト・ボタン(予約する、メニューを見る、地図を開く)を備えたカード。
  4. 判別。 キーワード、AIによる分類、またはその両方で、メッセージを用件に結び付けます。
  5. 有人対応への切り替え。 ボットを止めて担当者に引き継ぐ言葉や状況。
  6. 記録。 何を聞かれ、何を返し、何に答えられなかったか。

見落とされがちなのが回答ライブラリです。ボットの品質は回答の品質で決まります。予約ボタン付きの分かりやすい料金カードは、内容があいまいな高性能AIに勝ります。回答を先に作り、ツールはその後で選びましょう。

#会話設計のポイント

#あいさつメッセージで期待値をそろえる

友だち追加されると、LINEはあいさつメッセージを送ります。ここで3つを伝えましょう。このアカウントで何ができるか、返信は自動であること、担当者への連絡方法(例:「担当者」と送信)です。文面はあいさつメッセージ・応答メッセージの例文を参考にしてください。

#リッチメニューに質問させる

トーク画面下部のメニューはボットの入り口です。「料金表」「予約」などのボタンからキーワードと一致する短いテキストが送られるので、お客様は入力せずに正しい回答を受け取れます。ボタンと用件はセットで設計しましょう。よく考えたリッチメニューは、判別ミスの大半をなくします。

#短く伝える

LINEはスマートフォンで読まれます。1回の返信は数行にとどめ、行動はボタンに、詳しい説明はリンク先に任せます。

#確信がないときは推測させない

  • 短く聞き返すか、2〜3個の選択肢をボタンで示します。
  • それでも判別できなければ「担当者からご連絡します」と伝え、担当者に任せます。
  • 当て推量は禁物です。誤った料金や営業時間は、「担当者よりご返信いたします」の一言よりはるかに信頼を損ないます。

#有人対応への切り替えを最初に決める

担当者への引き継ぎは失敗ではなく、必要な機能です。発生条件を事前に決めておきます。

  • お客様が担当者を希望したとき:「担当者」「スタッフ」「オペレーター」「admin」「แอดมิน」「真人客服」など。
  • 不満を示す言葉や、同じ質問の繰り返し。
  • 高額・慎重な対応が必要な内容:大口注文、キャンセル、返金、健康に関する質問。

切り替えたら、そのお客様へのボットの返信を確実に止めます。止まらないと担当者の対応に割り込んでしまいます。営業時間外は、いつ返信できるかを伝えましょう。振り分けや応答時間の考え方はLINEカスタマーサポート自動化の手順で詳しく解説しています。

#多言語対応

日本、タイ、台湾では観光客や外国人のお客様に対応する事業者も多く、日本語・タイ語・繁体字中国語・英語が必要になることがよくあります。

  • 言語ごとのキーワード。 日本のお客様は「料金」「値段」、タイのお客様は「ราคา」、台湾のお客様は「價格」「多少錢」と入力します。用件ごとにすべて登録しましょう。
  • 主要な用件には言語ごとに承認済みの回答を用意し、 ネイティブスピーカーが作成または確認します。
  • 日本語: お客様への返信は「です・ます」や敬語が基本です。常体の返信は不具合のように受け取られます。
  • タイ語: お客様は略語や表記ゆれの多い話し言葉で書きますが、返信には「ครับ」「ค่ะ」で終わる丁寧な表現が期待されます。
  • 繁体字中国語(台湾): 台湾の用語(官方帳號、訊息、圖文選單)を使い、簡体字や中国大陸の用語は避けます。
  • 英語: 言語を判別できないときの予備として使います。

1つの回答集を機械翻訳で4言語にして、確認せずに公開するのはやめましょう。敬語の誤りや台湾向けの大陸用語は、素早く返信する意味を失わせます。

#自社システムとの連携が必要になる場面

質問に答えるだけなら回答の内容があれば足ります。お客様の手続きを代行するには、自社システムとの連携が必要です。

お客様の要望ボットに必要なもの一般的な実現方法
営業時間・料金・場所を知りたい回答の内容一般的なチャットボットツール
席や来店を予約したい予約ページ既存の予約システムを開く「予約する」ボタン付きカード
自分の注文状況を確認したい注文データの参照権限Messaging APIを使った個別開発
明日の空き枠をトーク内で見たい店舗のカレンダー個別開発
リピーターとして認識されたい顧客データ個別開発

まずはリンクから始めましょう。既存の予約ページを開くカードだけで、予約に関する問い合わせの多くは連携なしで解決できます。ボットに自社データを読ませる必要がある場合は、Messaging APIを使った個別開発になります。当社のLINE API開発・連携サービスでご相談いただけます。

#テストと公開

#有効化の前に

  • LINE Official Account Managerの応答メッセージを確認します。LINEの応答メッセージとボットの両方が同じメッセージに返信すると、お客様に2通届きます。LINEのドキュメントでは、Messaging APIのボットが応答する場合はこれらを無効にするよう推奨しています。ボットがあいさつを送らない場合、あいさつメッセージは残しておきましょう。
  • よくある質問を、お客様と同じように入力してみます。誤字、くだけた表現、絵文字を交え、対応するすべての言語で試します。
  • 関係のない話題や意味のない文字列も送ります。ボットは返信しないか案内を示すべきで、無関係な回答を送ってはいけません。
  • すべてのボタンとリンクを実機で確認します。
  • 担当者を希望するメッセージを送り、ボットが止まり担当者がメッセージを確認できることを、営業時間外も含めて確かめます。

#段階的に公開する

可能であれば、まず2つ目のLINE公式アカウント(コミュニケーションプランで十分です)か、ツールのシミュレーターでテストします。そのうえで問い合わせの少ない時間帯に公開し、最初の1週間はすべての会話を読みます。改善の多くは新しい技術ではなく、キーワードの追加と回答の分かりやすさです。

#効果測定と改善

毎週、次の数字を確認しましょう。

  • 自動対応率: ボットだけで完結した会話の割合。
  • 有人対応への切り替え: どれくらいの頻度で、どんな理由で担当者が求められたか。
  • 未対応: ボットが判別できなかったメッセージ。この一覧が改善リストです。キーワードを追加し、同じ話題が続くなら新しい用件を作ります。
  • 誤回答: ボットが誤った内容を伝えたという指摘。最優先で直します。
  • 応答時間: 担当者に引き継いだ会話について。

#投資に見合うか試算する

自社のデータで計算しましょう。以下の数字はすべて仮定の例です。

仮定(例):
- LINE公式アカウントへの問い合わせ:月900件
- うち60%がボットで答えられる定型の質問 = 540件
- 1件あたりの対応時間:5分
- 人件費:時給1,500円

削減時間:540 × 5分 = 月45時間
金額換算:45 × 1,500円 = 月67,500円
コスト:LINEのプラン料金(応答はメッセージ通数に含まれません)、AIの利用料、運用の手間

注意点が2つあります。初日から定型の質問に100%答えられるわけではなく、数週間かけてキーワードを追加していく必要があります。また、浮いた時間は販売や接客、難しい問い合わせへの迅速な対応に使ってこそ価値になります。

#運用にかかる費用

  • LINE: お客様のメッセージへの応答、あいさつメッセージ、応答メッセージは月間のメッセージ通数にカウントされません。カウントされるのは自分から送るプッシュ配信と一斉配信だけです(2026年10月時点)。返信するボットが配信用の通数を消費することはありません。各国のプラン料金はLINE公式アカウントの料金ガイドをご覧ください。
  • AIの利用料: AIが読む・書くメッセージに応じて、AIを動かす側が負担します。回答を書かせる方式は、選ばせる方式より一般に高くなります。
  • LINEのAIチャットボット(β): 前述のとおり、チャットProオプション(月額3,000円・税別)が必要です。
  • 社内の工数: 回答の作成・更新、未対応メッセージの確認、引き継いだ会話への対応。どのツールでも、これが本当の継続コストです。

#LineBot.proでできること

LineBot.proのLINEチャットボットは「承認済みの回答をAIが選ぶ」タイプで、ノーコードで設定できます。

  1. 返信用カードを作成。 「ランチセットの料金と『メニューを見る』ボタン」のように内容を伝えると、AIが画像・見出し・数行のテキスト・ボタンを備えたリッチメッセージを作成します。1枚8クレジット(作成時のみ)で、何度でも送信できます。
  2. LINE公式アカウントを接続。 LINE DevelopersコンソールのチャネルID、チャネルシークレット、チャネルアクセストークンを入力します。
  3. 用件を登録。 最大8件、それぞれ15個までのキーワード(言語は自由)と、回答に使うカードを設定します。キーワードは文中のどこにあっても一致し、キーワードによる返信は0クレジットです。
  4. 担当者への切り替えワードはそのまま使えます。 「human」「แอดมิน」「担当者」「真人客服」などが初期設定済みで、編集もできます。これらが送られると、再開するまでそのお客様への自動応答を停止し、担当者がLINE Official Account Managerのチャットで対応します。
  5. AI判定は任意で有効化。 キーワードに一致しないメッセージは、Geminiが登録済みの用件から1つを選び、確信度85%以上のときだけ返信します。判定したメッセージ1通につき1クレジットで、1日の上限を設定できます(初期値20、最大200)。条件を満たさなければ何も送らず、担当者の対応を待ちます。AIが回答文を書くことはありません。
  6. 無料のシミュレーターでテストし、Webhook URLをLINE Developersコンソールに設定して「Webhookの利用」をオンにし、有効化します。有効化の前に、すべてのカードがLINEの検証を通ります。

対応していないこと:返信は1対1トークのテキストメッセージのみ(グループトーク、スタンプ、画像は対象外)です。注文・予約・顧客情報の照会は行わず、回答文も書きません。そうした連携は個別開発で対応します。

クレジットは買い切りパックで、月額料金はなく有効期限もありません。新規登録でクレジットカード不要の50クレジットが付与され、返信用カード6枚分に相当します。

キーワード応答ボットを設定する →

#よくある質問

Q: LINE公式アカウントにチャットボットを入れるのにプログラミングは必要ですか?

不要です。LINE Official Account Managerの応答メッセージや、LineBot.proのようなノーコードツールは設定だけで使えます。注文や予約など自社システムの情報をボットに読ませる場合は開発者が必要です。

Q: キーワード応答とAIチャットボット、どちらを選ぶべきですか?

質問の内容で決めます。決まった質問が数個ならキーワードで十分です。同じ質問がさまざまな言い回しで届くなら、承認済みの回答からAIが選ぶ仕組みを加えます。用意しきれないほど質問が多様なら、厳格なルールと会話の確認を前提に、回答を書くAIを検討します。

Q: AIチャットボットがお客様に誤った情報を伝えることはありますか?

回答を自分で書くAIでは起こりえます。たとえば提供していない料金や条件を伝えてしまうケースです。承認済みの回答から選ぶだけのAIは、あなたが書いていない内容を送れません。起こりうるのはカードの選び間違いか無返信で、だからこそ確信度のしきい値とテストが重要です。

Q: LINEでチャットボットを運用する費用はどのくらいですか?

応答はLINEのメッセージ通数を消費しないため、主な費用はAIの利用料、ツール代、社内の工数です。LineBot.proではキーワードによる返信が0クレジット、AI判定が判定1通につき1クレジット、返信用カードが1枚8クレジット(作成時のみ)で、月額料金のない買い切りのクレジットパックから使います。

Q: チャットボットから担当者に引き継げますか?

引き継げるようにすべきです。条件(担当者の希望、クレーム、慎重な対応が必要な話題)を決め、そのお客様へのボットの返信が確実に止まることを確認し、営業時間外はいつ返信できるかを伝えましょう。

Q: グループトークでも使えますか?

ツールによります。LineBot.proのキーワード応答ボットは1対1トークのみに対応しており、グループトークは担当者が対応します。


次のステップ:

LineBot.proについて

LineBot.proは、LINE公式アカウント向けのAIツールです。リッチメニュー、リッチメッセージ、バナーの作成、一斉配信、キーワードによる自動応答に対応しています。本記事はLINE Messaging APIの実務経験をもとに、当チームが執筆しています。

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