ActEngine AIとは:LINE PlusのAIエージェントを解説
ActEngine AIは、LINE Plusが2026年3月12日に発表した、企業のカスタマーサポートと営業向けのAIエージェント基盤です。最初の導入先はタイのLINE MAN Wongnai。2つのエージェントの役割、発表された成果の読み方、まだわかっていないこと、中小事業者がいま使えるものを解説します。

#ActEngine AIとは
ActEngine AIは、LINE Plus Corporationが2026年3月12日に発表した、企業のカスタマーサポート(CS)と営業向けのAIエージェント基盤です(LINE Plusのプレスリリース)。LINE Plusは、これをB2B AI市場への本格参入と位置づけています。エージェントは「実行型」で、質問に答えるだけでなく、企業の業務プロセスに沿って処理を進めます。企業は統合された運用ポータルでエージェントを作成・運用でき、LINE Plusは企業のCS・営業データを大規模言語モデルで扱える形式に整えるサービスも提供します。
2026年10月時点の要点:
| 提供元 | LINE Plus Corporation(韓国・城南市) |
| 発表日 | 2026年3月12日 |
| エージェント | カスタマーサポート向け、営業向け |
| 最初の導入先 | LINE MAN Wongnai(タイ) |
| 発表済みの今後 | 金融・小売への展開、アジアとグローバル市場、音声型エージェント |
| 料金・申し込み | 公開されていない |
ActEngine AIは企業向けの基盤であり、LINE公式アカウントの機能ではありません。発表にLINE公式アカウントへの言及はなく、セルフサービスの申し込み窓口も見つかりませんでした。
#2つのエージェント:サポートと営業
#カスタマーサポート向けエージェント
LINE Plusによると、このエージェントは一問一答型のチャットボットを超えるものです。一次対応から苦情対応、問題解決までのサポート業務全体をカバーし、業務プロセスに沿って実行し、その結果から改善していきます。
タイの新聞Thairathが2026年4月29日に掲載したLINE MAN Wongnaiのプレスリリースには、加盟店サポートでの具体例があります。AIがバックエンドのシステムと連携し、メニューや営業時間の変更、決済トラブルの解決、広告設定の調整をリアルタイムで行うこと、そして100以上の標準業務手順(SOP)と実際の会話データをもとに構築されたことです(Thairath)。
#営業向けエージェント
営業向けエージェントの中心機能は「Outbound Action」です。注文パターン、利用頻度、割引への反応といったリアルタイムのデータを分析して対象、タイミング、アプローチを決め、個別のプロモーションを作成・送信します。広告配信やプロモーション設定との連携を前提に設計されており、LINE Plusはこれを、従来の営業組織ではカバーしにくかった中小の加盟店向けの「1:1 Sales AI」と説明しています。
#最初の導入事例:LINE MAN Wongnai
LINE MAN Wongnaiは、70万以上の加盟店を持つタイのフードデリバリー・飲食店プラットフォームです。LINE Plusによると、飲食店の加盟店の約80%は1〜2人で運営されています。
| LINE Plusの発表 | 数値 |
|---|---|
| サポート向けエージェントの稼働 | 2026年1月 |
| 処理している加盟店からの問い合わせ | 年間約36万件 |
| 対応時間 | 60%以上短縮 |
| 正確性 | プロの担当者より16%向上 |
| 営業向けエージェントの稼働 | 2026年2月26日 |
数字の読み方:
- いずれも企業が発表した数字で、第三者による測定ではありません。
- 対象は加盟店サポートです。ここでの「顧客」はLINE MAN Wongnaiの加盟店ポータルを使う飲食店で、料理を注文する一般消費者ではありません。
- Thairathが掲載したタイ語のプレスリリースでは対応時間の短縮を66%以上としており、LINE Plusの発表(60%以上)と数字が異なります。
- 加盟店がLINEのトークでエージェントとやり取りしているのか、加盟店アプリなのかは、どちらの情報源にも書かれていません。
#LINE Plusが示す今後
- ActEngine AIをグローバルなB2B AIプラットフォームに育て、アジアとグローバル市場で提供する。
- LINE PlusのB2B AI事業責任者Hyunjun "Jayce" Shin氏の言葉では、「金融や小売を含むさまざまな業界」に広げる。
- 実際の顧客相談や営業の現場で使う音声型AIエージェントを準備中。
いずれも計画で、発表には時期も他の導入企業名もありません。
#まだわかっていないこと
2026年10月時点で、次の情報は見つかりませんでした。
- 料金や課金モデル
- プレスリリース以外の製品ページや公開の申し込み窓口
- タイでの導入以外に対応する国と言語
- 一般のLINE公式アカウントにActEngineのエージェントを接続できるかどうか
大企業で関心がある場合は、LINE Plusや担当のLINE営業窓口に直接問い合わせ、プレスリリースにない数字を引用する外部記事には注意してください。
#中小事業者にとっての意味
ActEngine AIは、バックエンドのシステムを持ち、年間数十万件の問い合わせを抱える大規模プラットフォーム向けに作られています。一般の店舗やクリニックが、いま導入できるものではありません。
LINEが小規模なアカウント向けに提供している一番近いものは、日本にあります。2025年11月から、LINE公式アカウントの「AIチャットボット(β)」が、オーナーが登録したQ&Aから回答を選んで返信します。月額3,000円(税別)のチャットProオプションが必要です(LINEヤフー)。さらにLINEヤフーは、24時間接客する「LINE OA AIモード」を発表していますが、2026年10月時点で料金は未定です(Agent i for Business)。
私たちの見解: LINE MAN Wongnaiの事例から学べるのは、モデルではなく準備の大切さです。AIに任せる前に、書かれた回答、はっきりした業務手順、人につなぐ方法が必要です。これはどのツールを使っても役に立ちます。
- よくある質問を10〜20個書き出し、それぞれに送ってよい回答を書く。
- 必ず人が対応する用件(返金、苦情、医療や法律の相談など)と、お客さまが担当者につながる方法を決める。
- よく使う回答はリッチメニューのボタンに置き、入力しなくても見つかるようにする。
- お客さまに関するメモは、LINE Official Account Managerのチャットタグや自社のシステムなど、すでに使っている場所で管理する。
1〜3には、応答メッセージの例文集とカスタマーサポート自動化ガイドが役立ちます。
#いま使えるもの
LineBot.proは独立したサービスで、ActEngine AIとは関係ありません。小規模なチーム向けに、「承認済みの回答」というやり方を提供しています。
- キーワード応答ボット: 1〜8個の用件と、用件ごとに1〜15個のキーワード。各用件に承認済みのリッチメッセージのカードで返信します。キーワードに当てはまらないメッセージは、AIが登録済みの用件から選ぶこともできます(確認したメッセージ1通につき1クレジット、1日の上限を設定可能)。AIは回答文を書きません。有人対応キーワードで、そのお客さまへのボットの返信を止められます。1対1トークのみ対応です。詳しくはLINEチャットボットへ。
- AIでの素材生成: 返信用のリッチメッセージが1枚8クレジット、リッチメニューが10クレジット(LINE Official Account Managerでご自身でアップロードします)。
- キャンペーン: AIが作ったフレックスメッセージを、友だち全員またはユーザーIDのリストに即時・予約で配信。
できないこと:業務システムの中で実行するエージェント、個別の営業アプローチ、音声、分析。LINEを予約システムや受注システムとつなぎたい場合は、LINE開発の受託の領域です。
新規登録で50クレジットを無料でお渡しします(カード登録不要)。その後は買い切りのクレジットパックで、月額料金も有効期限もありません。
#よくある質問
Q: ActEngine AIとは何ですか?
LINE Plus Corporationが2026年3月12日に発表した、企業のカスタマーサポートと営業向けのAIエージェント基盤です。エージェントは質問に答えるだけでなく、業務プロセスに沿って処理を実行します。
Q: ActEngine AIはどこで使われていますか?
発表されている最初の導入先はタイのLINE MAN Wongnaiです。2026年1月から加盟店サポートでサポート向けエージェントを、2026年2月26日から営業向けエージェントを使っています。
Q: 自社でActEngine AIを申し込めますか?
2026年10月時点で、公開の料金、製品ページ、セルフサービスの申し込みは見つかりませんでした。大企業はLINE Plusか担当のLINE営業窓口に問い合わせてください。
Q: ActEngine AIはLINE公式アカウントの機能ですか?
発表を見る限り違います。発表にはLINE公式アカウントへの言及がありません。公式アカウント向けのAIは別のもので、日本の「AIチャットボット(β)」と、発表済みの「LINE OA AIモード」があります。
Q: LINE MAN Wongnaiの成果は第三者に検証されていますか?
されていません。年間約36万件、対応時間60%以上短縮、正確性16%向上は、LINE PlusとLINE MAN Wongnaiが発表した数字です。
Q: 中小事業者向けに似たものはありますか?
日本では、LINE公式アカウントの「AIチャットボット(β)」が、有料のチャットProオプションで登録済みのQ&Aから回答します。LineBot.proのキーワード応答ボットは、承認済みのカードで返信し、日本・タイ・台湾で月額料金なしで使えます。
次のステップ:
- 全体像はLINE自動化トレンド2026で確認する
- 応答メッセージの例文集で最初の回答を書く
- キーワード応答ボットを試す(新規登録で50クレジット無料)
- LINEと自社システムの連携について相談する
LineBot.proについて
LineBot.proは、LINE公式アカウント向けのAIツールです。リッチメニュー、リッチメッセージ、バナーの作成、一斉配信、キーワードによる自動応答に対応しています。本記事はLINE Messaging APIの実務経験をもとに、当チームが執筆しています。
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